大佐の遊び場

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【ネタバレあり】ヘミングウェイの『老人と海』の感想。

 ※この記事の内容には当該書籍の物語の内容が含まれます。予めご了承ください。

 

■簡単な内容

 不漁が続く老漁師が主人公で、その漁師が大きなカジキを何日かにわたる持久戦の後に仕留めます。

 しかし船に乗せて運ぶのが困難だったため、船に縛り付けて持ち帰ろうとするも、獲物はサメたちに次々食いちぎられていく中、老漁師は必死に抵抗しながら陸を目指します。この話はそんな老漁師の孤独な闘いを描いた作品です。

 

■感想等

 この話は老漁師の主観から書かれるのではなく、第三者的な視点で書かれているところが面白いところです。そのため老漁師の内心が語られることはほとんどなく、独り言や彼の行動を通じてのみ内心を知るすべがないといっても良いのです。

 

 大きなカジキとのじっくりとした持久戦は老漁師は慌てることなく粘り強く闘い、相手を消耗させていきます。後半のサメとの獲物を奪わせまいとする闘いも老漁師は果敢にサメ相手に立ち向かいます。

 老漁師の孤独な闘いっぷりや勇敢さは作者が描きたかったもののように思えます。ですが結果カジキは骨だけになり、老漁師は何も手に入れられず帰宅するのです。

 結果として手に入れた物はないが老人は最後まで立派に戦います。老いた体に力不足を感じながらも必死に抵抗します。

 

 結局何も手に入れられないあたりに残酷なまでのリアルさがあるように思います。老漁師は年齢による衰えも感じながら、持てる力と知恵を振り絞りながら戦う様は勇気づけられるものがあります。

 この話は必死に何かに挑戦する時に孤独でもこの老人のように闘おうと勇気が貰える作品ではないかと思います。

 150ページほどの中に濃密な内容なのも凄いです。流石に名作図書に挙げられるだけのことはあります。未読の方は是非!

 

老人と海 (新潮文庫)

老人と海 (新潮文庫)