夏目漱石の『吾輩は猫である』感想。
こんばんは、大佐です。今日は毛色を変えて読書の感想文を書いてみようと思います。読書感想文をイヤイヤ書いた小学生の夏ですが、今では好き好んで書いているというのだから、人生わかりませんね(笑)。
今日は夏目漱石の『吾輩は猫である』の感想です。それでは参りましょう。
【目次】
あらすじ
名前はまだないで有名な猫は、変わり者教師の苦沙弥(くしゃみ)先生の家に拾われます。基本的にストーリーは猫の視点、主人とまたまた変わり者のお客との会話が中心です。
主人公の猫は異常なまでに賢く、博識です(笑)。そんな猫の目を通して、変わり者教師とその変わった友人とのやり取りを猫がどう感じているのかが中心の作品です。
作者が表現したかったことと思うこと
思うにこの辺だと思います。
1.人間の傲慢さ
2.苦沙弥先生を通じて描かれる大多数の人間の怠慢さ
3.あくまでも繰り返される日常、そしてその結末
1は序盤に大きく取り上げられますが、後半になるとさほどでもなくなります。猫も人間と少しは分かり合ってきているのでしょうか?興味深いです。
2はもうよくわかりますね(笑)。本は読むがわずかに読むだけで寝ている先生(笑)。猫はそれを見て「高価な睡眠導入剤だ」みたいなことを言うので皮肉が効いています。
3は三毛子の病気、金田の娘と客人の寒月の恋話など、いくつかイベントはあります。しかしどちらかというと、些末な日常の切り出しといった話が中心です。
ストーリー性はあまりなく、あくまで日常を切り出したリアリティを追究した作品という見方もできます。
僕の感想
結論から行きます。
1.当時の日本文学の特有の文体が読みづらい
2.猫視点はなかなか面白い
3.流石に少し冗長、もう少しスッキリさせてほしかった
1.当時の日本文学の特有の文体が読みづらい
まず最初に思うのが、言葉遣いが昔の文学なのでかなり大層です。Kindle Unlimited版を読みましたが「~たてまつり候」とか普通に当時の言葉のままでした。口語訳されたものがあればそれを読むべきだなと思いました。
正直この時代の文学は言葉遣いが難しく、同じ日本語とは思えません。海外文庫の訳文の方が遥かに読みやすいです。
2.猫視点はなかなか面白い
特に序盤に多い、人間の傲慢に怒りを感じる猫の話は面白いです。普段僕たちが猫に敬意を持って優しく接せているのか、考えさせられるところがあるなと思いました。
猫にも一人前に差別も偏見もなく、人間同様に扱ってほしいという感情があるのかもしれませんね。面白い気付きを与えてくれる内容だと思います。
3.流石に少し冗長、もう少しスッキリさせてほしかった
些末な日常の描写に力を入れすぎて、登場人物の迷亭や寒月などとの読者目線で言うと学者同士の語りが、かなり冗長に感じました。この辺は当時の学者はこんな輩だったみたいな予備知識があったほうが楽しめたのだとも思います。
つまり現代になって読むと、当時の人々が感じたものより価値が減損して感じやすいという風にも取れなくもないですね。
むしろ作中に登場する、女性同士の会話の方が普遍的な悩みや問題点を話していることが多く共感を得やすいと思いました。
総合的な感想
時間のある人向けな作品だと思いました。読了するまでのKindle上での表示時間も8時間を超えていましたので、なかなか腰を据えて読む必要があるかと思います。
ちょっと、冗長に感じる部分が大きいのでもう割り切る読み方もありです。Kindle Unlimitedのユーザーなら無料で読めちゃうので、最初と最後の部分だけ読むというやり方もありだと思います。
個人的には夏目漱石さんの別の作品を読む気にはなりませんでした。本作で十分おなか一杯になりました。
冗長さと難解さを超えても読む価値のある、天才漱石の描く「猫の視点」
しかし、冗長さと読みにくさを差し引いた後に残る、夏目漱石の思う猫の視点はなかなか興味深いです。猫の気持ちが少しわかるかもです。飼い猫にも敬意をもって接そうと、思うきっかけになる作品かもしれませんね。
ポール・ギャリコの『ジェニィ』とともに猫の気持ちを知りたい人むけの作品かもしれません。本作も『ジェニィ』の方も猫好きならば、一度は手に取ってみてもよいかと思います。
今日のまとめ
・天才文学者の思う「猫の視点」が面白い。
・人間の傲慢・怠慢などを飼い主の苦沙弥先生を通じて描かれている。
・学者同士の話し合いが難解で冗長かなと思いました。
・面白いがやや冗長。ほかの作品には手が伸びそうにないです。